2022年4月3日

ここでは ROBOT.ICHIBA が扱っている Creality 3D 社の 3D プリンターについてまとめました。

Creality 3D は消費者向け3D プリンターを販売する中国は深センに本社を置くグローバル企業です。Enderシリーズをはじめとする様々な製品を世界中に展開、コンスーマー向け3Dプリンターとして世界的に認知されています。

ROBOT.ICHIBA が取り扱っている Creality 3Dプリンターの価格と特徴

造形方式価格(円)印刷可能なサイズ (XYZ)mm特徴
Ender-2 ProFDM20,990165 x 165 x 180手で持ち運べるハンディーサイズ。折りたたんでコンパクトに収納も可能
Ender-3 V2FDM36,900220 x 220 x 250世界中にユーザーを持つ Ender シリーズの代表モデル Ender-3 のバージョンアップ進化版。マザーボードも強化され、静粛性もアップ
Ender-3 S1FDM49,900220 x 220 x 270Ender-3 の新しいシリーズ。ほぼ完成した状態でパッケージされており、従来の Ender シリーズより大幅に組み立ては簡単に。Z軸を2つのステッピングモータで駆動し、より安定した動作を実現。オートレベリング機能も標準搭載
Ender-3 S1 ProFDM59,400220 x 220 x 270Ender-3 S1 の強化版。300度まで対応できるノズルを採用。より幅広いフィラメントが選択可能に
(2022年 4月下旬入荷予定)
Ender-7FDM92,900250 x 250 x 300Ender シリーズ最速 250mm/秒 の印刷速度を実現。Ender シリーズのフラッグシップモデル
Sermoon V1FDM49,900175 x 175 x 165完全密閉モデル。完成した状態で届き、すぐに利用を開始できる。WiFiとクラウド印刷にも対応、3Dプリンターの新しい活用方法を体験できる
HALOT ONE光造形35,900127 x 80 x 160低価格にして高性能な光造形プリンター。FDM 方式に見られる積層痕はほとんど現れず美しい造形が可能。フィギアの印刷出力などでも満足の結果を得ることができるであろう高品質。美しい造形出力を低価格で実現したい方に最適なプリンター
HALOT ONE PRO光造形国内販売価格確認中130 x 122 x 160HALOT ONE の基本性能をそのままに、印刷サイズをアップし、照射スクリーンの解像度も 7.04インチ3Kスクリーンにアップ。2重のZ軸ガイドレールも採用され、全体を通してより安定した印刷性能を実現
(2022年 4月下旬入荷予定)
HALOT ONE PLUS光造形国内販売価格確認中170 x 102 x 160HALOT ONE の基本性能をそのままに、印刷サイズは PRO よりさらにアップし、照射スクリーンの解像度も 7.9インチ4Kスクリーンにアップ。HALOT-ONE PRO 同様2重のZ軸ガイドレールも採用され、全体を通してより安定した印刷性能を実現
(2022年 4月下旬入荷予定)
HALOT Lite光造形71,900192 x 120 x 200解像度 4K の高性能光造形プリンター。ホビー用途に加え、製品試作、宝石デザイン、アート作品、歯科、建築デザインなどのプロフェッショナルの用途にも応える性能を持つ
(2022年 4月中旬入荷予定)

各プリンターの見た目とサイズ

各プリンターの印刷方式と性能

本体イメージ本体サイズ(WDH)mm本体重量 (kg)消費電力初期セットアップ
(文字をクリックすることで
組み立て紹介ビデオを
確認することができます)
Ender-2 Pro421 x 383 x 4654.65150W簡単組み立て
Ender-3 V2475 x 470 x 6207.8350W組み立て
Ender-3 S1487 x 453 x 6229.1350W簡単組み立て
Ender-3 S1 Pro490 x 455 x 6258.6350W簡単組み立て
Ender-7430 x 460 x 57017.2350W組み立て
Sermoon V1400 x 380 x 43011.5150W完成品
HALOT ONE221 x 221 x 4047.1100W完成品(初回レベリングは行う必要あり)
HALOT ONE PRO236 x 245 x 4166.7100W完成品(初回レベリングは行う必要アリ)
HALOT ONE PLUS236 x 243 x 4186.9100W完成品(初回レベリングは行う必要アリ)
HALOT LITE330 x 301 x 57210.6250W完成品(初回レベリングは行う必要あり)

Creality 3D のFDM方式プリンター。国内も含め、世界中で愛され続けているメジャーブランドの一つ

FDM 方式 - 樹脂を溶かして層を重ねて立体を成型。気軽に使える 3D プリンター

FDM は熱溶解積層方式(Fused Deposition Modeling)の略で、ホビー用、家庭用 3D プリンターとしては最もメジャーな立体造形の方式です。フィラメントと呼ばれる樹脂を熱で溶かして薄い層の1面を造形し、この層を積み上げていくことで立体物を作り上げます。気軽に印刷ができるのが特徴で、進行状況も目視でき、完成したモデルは印刷中に立体が崩落しないように付けるサポート材などを取り除きさえすればすぐに使える状態です。気軽に印刷できる一方、0.2mm前後のレイヤーを一層一層、ノズルでなぞり、積み上げていくことで立体を造形する方式のため、印刷には比較的時間がかかります。大きな造形物だと丸一日印刷をしていなければならないようなこともあるので、家庭で使う場合は静粛性能も導入の一つの判断ポイントになるでしょう。層を積み上げていく方式のためどうしても積層痕が細かい縞のように残ります。表面の滑らかさ、造形の美しさを追求したい場合は後から紹介する光造形型のプリンターの方が適しているといえます。

表面の仕上がりが光造形型と比較して劣るといっても、その印刷精度は多くの場面で十分です。例えば ROBOT.ICHIBA で紹介している Otto DIY のロボットのボディーはいずれの Creality 3D の FDM 方式プリンターで出力しても十分な性能を発揮できます。

自分のアイデア、デザインをとりあえず形にして試してみたい、そういった用途には FDM 方式は非常に適しています。

アフターパーツが魅力。長く使える Creality 3D の FDM 方式 3D プリンター

Creality 3D は FDM 方式の 3D プリンターについて、リーズナブルかつ必要十分な性能を誇る Ender シリーズ、ハイエンド向けの CR シリーズ、完全密閉タイプの Sermoon シリーズなど多くのシリーズと製品ラインナップを揃えています。Creality 3D 社のプリンターはアフターパーツが充実している点も多くのユーザーに支持されている理由の一つです。例えば Ender-3 V2 は標準ではオートレベリングをサポートしていませんが、オプションの CR-Touch または BL-Touch オートレベリングキットを追加することでオートレベリング機能を持たせることができます。ROBOT.ICHIBA は2月時点ではオプションパーツは取り扱っていませんが、今後これらも販売、サポートしていく予定です。

Creality 3D オフィシャルサイトより
印刷スピードノズル温度精度積層ピッチ印刷プラットフォーム静粛性能レベリング方式印刷データの転送方法操作画面
Ender-2 Pro≤ 100 mm/秒、平均 60mm/秒最大 260度--マグネットシート-手動USB / TFカード128 x 64の白黒液晶。コントロールノブで操作 
Ender-3 V2最大180mm/s
推奨 60
最大 250度±0.1mm0.1-0.4mmカーボランダムガラスサイレントマザーボード搭載手動USB / TFカード4.3 インチ カラースクリーン。コントロールノブで操作
Ender-3 S1最大150mm/s
推奨 60-100mm
最大 260度±0.1mm0.1 - 0.4mmPCばね鋼マグネットシートサイレントマザーボード搭載≤50dBオートレベリング対応 (CR-Touch 標準搭載)USB/ SDカード4.3 インチ カラースクリーン。コントロールノブで操作
Ender-3
S1 Pro
最大150mm/s最大 300度±0.1mm0.05 - 0.4 mmばね鋼PEIマグネットシートサイレントマザーボード搭載オートレベリング対応 (CR-Touch 標準搭載)USB/ SDカード4.3 インチ タッチスクリーン
Ender-7最大 250mm/s最大 260度±0.1mm0.1 - 0.4mmカーボランダムガラス-手動USB / TFカード白黒液晶タッチスクリーン
Sermoon V1最大100mm/s最大 250度±0.1mm0.1 - 0.4mmマグネットシート完全密閉構造
≤45dB
オートレベリングクラウド / SDカード4.3インチカラータッチスクリーン
Creality FDM 方式3Dプリンター性能比較

Creality 3D の光造形方式プリンター。今のところ国内ではあまり知られていないけど結構いい

美しい造形を短時間で可能にする光造形方式 3Dプリンター。ただし後処理必須な点を注意

光造形方式のプリンターでは光硬化樹脂(レジン)を使って造形が行われます。光硬化樹脂は光で硬化する特殊な液体です。この樹脂に光を照射することで一つの層を硬化させ構築、積み上げて次の層を構築するということを繰り返し、立体を造形します。層の硬化には様々な手法がありますが、Creality HALOT シリーズでは液晶パネルに一つの層の形状を投影、これをフィルターとして光源を通過させることによって一つの面を構築しています。少し雑な説明をするとモノクロのタブレットのようなスクリーンがあって、この通常白黒の「白」の部分が「白」ではなく、硬化樹脂を硬化させる強力な紫外線だというようなイメージです。このタブレットのようなスクリーンを下にして、硬化樹脂をその上に満たすことで、このモノクロ画面に投影された画像が一つの層として硬化されて形成されるという具合です。この方式では一つの層を一度に造形できるので、全体の造形にかかる時間が、FDM方式などと比較して短時間で済むという特徴があります。また、一つの層の厚さは FDM 方式が通常 0.1mm - 0.4mm 程度であるのに対して、低価格モデルの HALOT-ONE でさえ 0.03 - 0.05 mm と非常に細くなっています。このためその印刷結果について FDM 方式に見られるような積層痕はほとんど気にならない程度となっており、極めて滑らかな造形ができるのは光造形方式の最大の魅力です。

レジンによる出力例(Creality 3D社 イメージ素材より)
レジンによる出力例(Creality 3D社 イメージ素材より)

美しい造形がしかも短時間で仕上がる点が光造形方式の優れている点である一方、FDM 方式などと比較して扱いが若干面倒なところはあらかじめ理解しておく必要があります。まず光造形方式の3Dプリンターで印刷されたモデルには「洗浄」と「硬化」という後処理が必要になります。「洗浄」は余分な光硬化樹脂(レジン)を流し取る作業で、アルコールを使って行います。最近は水で洗い流せるタイプのレジンも出てきましたので、洗浄用のアルコールの確保やその保存方法などにわずらわしさを感じる場合、これら水洗い可能なレジンを選ぶとよいでしょう。次に「硬化」です。3Dプリンターから出力されてきた立体はまだ完全には硬化していない状態です。ここに UV ライトを一定時間照射させ造形物を完全に硬化させる必要があります。完全に硬化する前のレジンは手で触れるとアレルギー反応を起こす場合があります。したがって洗浄と硬化の一連の作業は直接造形物やレジンに触れることがないよう、手袋をして行う必要があります。なお、Creality 3D は UW-01UW-02 という洗浄と硬化を効率的に行える機器も販売しています。特に UW ライトの照射は安定して、均一に行えていることが望ましいので、それを実現できる UW-01UW-02 の導入はそれなりに価値があります。なお UW-01 UW-02 の違いは対応できるモデルの大きさで、UW-01 は HALOT-ONE で印刷されたモデル向け、UW-02 はそれより大きなモデルにも対応できる大きさを備えています。

造形物の洗浄と硬化に便利な UW-01, UW-02 (写真は UW-1)

印刷が終わった後の後片付けも大切です。印刷が終わって余ったレジンの保存についてちゃんと考えておく必要があります。太陽光でも長時間さらされるとレジンは固まってしまいます。3D プリンターのトレイに残っているレジンは蓋をして完全に日光を遮断するか、ロートなどを使って再び容器に戻して、光が入らないよう容器の蓋をちゃんと閉めるかなどして、次回の印刷の際もレジンが使えるようにしておきます。

HALOT-ONE についてもう一つ付け加えると、造形できるサイズが 127mm x 80mm x 160mm と他と比べてそれほど大きくないことも気を付けてください。自分が造形したいと思っている対象がこのサイズに収まっているか確認しておきましょう。

FDM 方式の手軽さに対して光造形方式は科学実験のようであり、また一つの作品を作るような感覚でもあります。手間暇がかかる分、仕上がった造形物もきっと作品というに足るものになっているはずです。

特許も多数、進化を続ける Creality 3D の光造形方式プリンター

Creality 3D は光造形方式プリンターの分野でも多くの特許を取っており、今後もその製品ラインアップを拡充させることは間違いありません。特に10万円以下の低価格帯の光造形方式の3Dプリンターはここ数年の間に起こってきたトレンドであり、今後が期待される領域です。Creality 3D はこのカテゴリーに HALOT シリーズで製品を投入しました。HALOT シリーズについて他のメーカーと異なるユニークな点の一つとしては印刷面に投影する光源の仕組みにあります。多くの低価格帯の光造形プリンターは硬化のための光源として、UV LEDライトを縦横に行列にして並べることで照射面全体に光りが照射されるようにしています。しかしながら、この方法には一つでも LED が不調となるとそこが暗点となり印刷が安定しなくなる、並べられた LED の間の部分の明るさを均一にするのが難しい、などの欠点がありました。HALOTシリーズは独自の統合型の光源(インテグラルライトソース)という方式を採用しており、これは UV LED の明かりを投影面に直接照射するのではなく、屈折、反射させてから照射することで投影面全体に均一な明るさをもたらすことに成功しています。

印刷可能なサイズ (XYZ)mm印刷スピード硬化ライトの波長XY方向解像度Z軸解像度操作画面印刷データの転送方法
HALOT-ONE127 x 80 x 1601-4秒/層405nm1620 x 2560
(0.051 mm)
0.03 - 0.05 mm5インチカラータッチスクリーン(日本語対応)USBメモリー / クラウド
HALOT-ONE PRO130 x 122 x 1601-4秒/層405nm2560 x 2400 (0.051 mm)0.01 - 0.2 mm5インチカラータッチスクリーン(日本語対応)USBメモリー / クラウド
HALOT-ONE PLUS172 x 102 x 1601-4秒/層405nm4320 x 2560
(0.04 mm)
0.01 - 0.2 mm5インチ HD Full-View
マルチタッチスクリーン(日本語対応)
USBメモリー / クラウド
HALOT-LITE192 x 120 x 2001-4秒/層405nm3840 x 2300
(0.05 mm)
0.01 - 0.1 mm5インチカラータッチスクリーンUSBメモリー / クラウド
Creality 光造形方式3Dプリンター性能比較

ROBOT.ICHIBA が扱う 3D プリンターの紹介は以上です。不明な点、こんなプリンターも扱ってほしいなど、ご意見、ご感想ありましたら是非 support@robot-chiba.jp までご連絡ください!